殺人未遂裁判(新件)を傍聴しました。
2025年2月28日朝9:00から12:00の間に、母親(被告人:Aさん)が1歳の長男(被害者:Yくん)の頚部を殺害意図を持って切付けた事件についての裁判傍聴をしました。
なおAさんは自らの頚部、胸部を刺して自殺を図ったが、意識不明状態のところを訪問してきたAさんの妹に発見されました。(無理心中未遂)
裁判の冒頭陳述や経緯を聞いて、被告人Aさんは責められないな、と私は思いました。なんとか、情状酌量を与えて欲しい、そのような内容であり、傍聴中に周囲ですすり泣くような声も聞こえました。
<経緯>
⚫︎Aさんは令和2年に現在の夫と結婚し、程なくして夫の転勤のため、神奈川県から茨城県に転居。
⚫︎令和6年2月にYくんが誕生。出生後の検診では何も異常は見つからなかったが、Yくんは生後3ヶ月ごろから癲癇(てんかん)を発症しました。その後、実家近くの専門病院に通院しましたが原因は不明のままでした。
⚫︎Aさんは、Yくんに対してはとても強い愛情を注いでおり、なんとかしてやりたい一心で、癲癇が発症して10ヶ月の間、通常の育児のほか、度々発生する癲癇に対応しながら、子育てを必死に継続しました。しかし、家族には「もう死にたい」といつも言っていました。
⚫︎その後、小児専門病院にて遺伝子欠損病の疑いがあるため、遺伝子診断を実施し、令和7年2月27日に遺伝子検査の結果、発症事例の少ない遺伝子欠損症であることが判明、その治療法はないことがわかった。Aさんは「もう死のう。」と決断。また、「Yくんを残して私だけ死ぬなんて、Yくんがこの先可哀想だ。」と悲観し、無理心中を計画しました。
⚫︎令和7年2月28日 Aさんの母親宅にいたAさんとYくん。Aさんの母は朝6時前に出勤時に2人が寝ていることを確認して出発。
9:00にAさんが起床し、その後寝ているYくんの頚部2箇所をパン切り包丁で切付けた。その後、自分の頚部を切り、長男を抱きしめて倒れた。
しかしその後、Aさんの意識が回復し、死にきれなかったことに気づき、今度は浴室で別の包丁で自分の胸を刺し自殺を図った。
⚫︎12時過ぎ、昼食の約束をしていた妹が訪ねてきた際、倒れている姉(Aさん)を発見して警察、救急に通報した。
<Aさんと、その心理>
⚫︎Aさんは真面目で心配性。学生時代はバスケ部のキャプテンを務めるなど、活発な生活を送っていた。短大に進学して貿易会社に就職して横浜市内で一人暮らしをしていた。その後、会社で現在の夫と出会い結婚した。
⚫︎Aさんは、2024年5月にYくんの病気が発症してから、LINEで母親、妹、夫と以下のような会話をしていました。
・私、もう疲れちゃった。限界。色々とどうでも良くなった。こんな小さな子に投薬治療や痛い思いをさせて申し訳ない。産んでしまって申し訳ない。自殺してしまいたい。
・今日もYくんが痙攣した。私もYくんも寝てない。限界で涙も止まらない。
・私はYくんが発作しても見ているだけしか出来ない。私もYくんも生きるのが辛い。生き地獄だ。
<所感>
⚫︎Aさんは「うつ状態」であったのではないでしょうか。
私はうつ病と診断されましたが、自殺願望まではありませんでした。しかし、うつ症状の中には自殺を考えることはよくあるようです。
(自分の場合は、「通勤中に交通事故に遭えば会社休める」と考えてた)
⚫︎もし、Aさんが心療内科に受診できていたら、うつ病の治療に目を向けられるフォローができていたらと思うと、とても残念で悲しい事件だなと思いました。
ただ、YくんもAさんも生きています。これから、児童相談所や他のサポートも受けながら生活することになるでしょう。
是非とも、Aさんの心身のケアもしてもらいたいなと思いました。
⚫︎最後に、一番近くで見ていたご家族が、少しでも鬱の知識があれば。。。と思いました。
なお、この裁判の判決は11月27日を予定しています。
ではでは。

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